行政書士のホームページ制作を依頼するとき、「せっかく費用をかけるなら失敗したくない」と考えるのは自然なことです。
ホームページ制作では、デザインだけでなく、掲載する業務、ページ構成、原稿、更新方法、公開後の管理など、さまざまなことを決める必要があります。
そのため、制作そのものに問題がなくても、依頼者と制作側で認識が違っていたり、目的が曖昧なまま進めたりすると、完成後に「思っていたものと違った」と感じることがあります。
大切なのは、失敗を避けるためにホームページ制作の知識をすべて身につけることではありません。
自分で決めるべきことと制作側へ確認することを整理し、分からないことをそのままにしないことが重要です。
この記事では、行政書士のホームページ制作で起こりやすい失敗と、依頼前に確認しておきたいポイントについて解説します。
目的が曖昧なままホームページを作る
最初に注意したいのが、「ホームページを作ること」そのものが目的になってしまうことです。
行政書士のホームページには、
- 新規の問い合わせを受ける
- 事務所について知ってもらう
- 紹介された人に事務所の情報を確認してもらう
- 取扱業務や料金を案内する
- ブログなどで情報を発信する
といったさまざまな役割があります。
どの役割を重視するのかによって、必要なページや掲載する情報も変わります。
「開業するから、とりあえずホームページを作る」という状態でも制作を始めることはできますが、何に活用したいのかを考えないまま進めると、完成後に必要な情報が不足していることに気づく場合があります。
細かな仕様まで決める必要はありませんが、まずはホームページを作る目的を整理しておきましょう。
掲載する業務を整理せずに制作を始める
行政書士は取り扱える業務の範囲が広いため、ホームページに何を掲載するのかを整理することも大切です。
対応できる業務をできるだけ多く掲載したいと考えることもあるでしょう。
しかし、すべての業務を同じように並べると、ホームページを見た人に「何を中心に相談できる事務所なのか」が伝わりにくくなることがあります。
一方で、業務を絞りすぎれば、対応できる他の業務が伝わらないこともあります。
重要なのは、単純に業務数を増やしたり減らしたりすることではありません。
「特に問い合わせを受けたい業務は何か」「ホームページでどの業務を詳しく説明するのか」を考えたうえで構成を決めることが大切です。
業務を絞る考え方については、行政書士のホームページは業務を絞るべき?専門特化するメリット・デメリットでも解説しています。
デザインだけで判断する
ホームページ制作では、見た目の印象も重要です。
しかし、デザインだけを重視して制作内容を決めてしまうと、必要な情報が見つけにくくなったり、問い合わせまでの導線が分かりにくくなったりすることがあります。
行政書士のホームページを見る人は、デザインを見ることだけを目的に訪問するわけではありません。
「この業務を相談できるのか」
「料金はいくらなのか」
「どのような行政書士なのか」
「どこに事務所があるのか」
「どうやって問い合わせればよいのか」
といった情報を確認するために訪れる人もいます。
デザインの好みだけでなく、必要な情報が分かりやすく整理されているかという視点も持っておきましょう。
制作費だけで依頼先を決める
ホームページ制作を依頼するときには、費用も重要な判断材料です。
ただし、見積金額だけを比較して依頼先を決めると、後から想定していた内容が含まれていないことに気づく場合があります。
同じ「ホームページ制作」という名称でも、
- ページ数
- デザイン
- WordPress構築
- 原稿作成
- 写真や画像
- 問い合わせフォーム
- 公開作業
- 公開後の対応
など、含まれている内容は依頼先によって異なります。
金額を比較する場合には、その金額で何を依頼できるのかまで確認しましょう。
制作会社を選ぶときの確認事項については、行政書士のホームページ制作会社の選び方|依頼前に確認したいポイントでも紹介しています。
制作範囲を確認せずに依頼する
「ホームページ制作を依頼すれば、公開まで全部やってもらえる」と考えてしまうこともあります。
しかし、実際の対応範囲は制作会社やWeb制作者によって異なります。
たとえば、原稿や写真を依頼者が準備するサービスもあれば、原稿作成などを含めて対応するサービスもあります。
ドメイン・サーバーの設定、公開作業、公開後の修正などについても同様です。
制作開始後に、
「原稿も作ってもらえると思っていた」
「写真も用意してもらえると思っていた」
「公開後の変更も制作費に含まれていると思っていた」
という認識の違いが起きないよう、契約前に対応範囲を確認しておきましょう。
制作範囲については、行政書士のホームページ制作はどこまで依頼できる?依頼内容を確認するポイントでも詳しく解説しています。
原稿や写真の準備を後回しにする
ホームページ制作では、デザインや実装だけでなく、掲載する原稿や写真も必要です。
制作を依頼してから考えればよいと思っていると、必要な素材が揃わず、制作が途中で止まってしまうことがあります。
特に、
- 取扱業務
- 料金
- プロフィール
- 事務所情報
- 写真
などは、制作側だけでは決められない部分があります。
すべてを依頼前に完成させる必要はありませんが、「何を自分で準備する必要があるのか」は早めに確認しておきましょう。
制作前に準備したい情報については、行政書士のホームページ制作を依頼するときに準備するものは?必要な情報を解説でも紹介しています。
公開希望日だけを決めて準備期間を考えない
「開業日にホームページを公開したい」など、公開希望日が決まっている場合もあります。
その場合に注意したいのが、制作側の作業期間だけでスケジュールを考えてしまうことです。
ホームページ制作では、
- 原稿を準備する
- 写真を用意する
- デザインを確認する
- 完成したページを確認する
- 修正内容を伝える
など、依頼者側にも必要な作業があります。
仕事や開業準備をしながらこれらを行う場合、すぐに対応できるとは限りません。
公開日が決まっている場合には、制作期間だけでなく、自分が準備・確認する時間も含めてスケジュールを考えましょう。
制作期間については、行政書士のホームページ制作期間はどのくらい?依頼から公開までの流れを解説でも解説しています。
修正できる範囲を確認していない
制作途中では、完成したデザインやページを見てから変更したい部分が出てくることがあります。
ただし、修正への対応方法は依頼先によって異なります。
修正回数に決まりがある場合もあれば、制作内容を大きく変更すると追加費用が発生する場合もあります。
たとえば、文章の一部を変更することと、完成したページの構成を大きく作り直すことでは、必要な作業量が違います。
制作開始前に、
- どの段階で内容を確認するのか
- 修正はどのように伝えるのか
- 修正回数に決まりはあるのか
- 追加料金になる変更は何か
などを確認しておくと、制作途中の認識違いを減らしやすくなります。
WordPressなら何でも自分で変更できると思ってしまう
WordPressでホームページを作れば、公開後は自分ですべて変更できると思うことがあります。
しかし、WordPressを使用していても、どの部分を管理画面から変更できるのかは制作方法によって異なります。
お知らせやブログは自分で投稿できても、ページのレイアウトやデザイン変更には制作作業が必要になることがあります。
料金やFAQなども、自分で変更できるように作られているかどうかによって操作方法が変わります。
公開後に自分で変更したい内容がある場合には、制作前に伝えておきましょう。
ホームページ制作後の更新については、行政書士のホームページ制作後の更新はどうする?自分で行う場合と依頼する場合でも解説しています。
公開後のことを考えていない
ホームページは、公開した時点で完成して終わりというものではありません。
料金や業務内容が変われば掲載情報を変更する必要がありますし、WordPressなどを使用している場合にはシステムの管理も必要です。
また、ホームページからの集客を考えている場合には、公開後にブログや業務ページを追加したり、アクセス状況を確認したりすることもあります。
制作時には公開までのことに意識が向きやすいですが、
「誰がホームページを更新するのか」
「保守はどうするのか」
「新しいページを追加したくなったらどうするのか」
といった公開後の運用も考えておきましょう。
公開後の運用については、行政書士のホームページは公開後に何をする?集客につなげる運用方法を解説でも紹介しています。
SEO対策をすればすぐに問い合わせが増えると思ってしまう
ホームページ制作とあわせてSEO対策を行えば、公開後すぐに検索結果から多くの問い合わせが来ると期待することもあるかもしれません。
しかし、ホームページを公開しただけで検索結果の上位に表示されるとは限りません。
検索結果での評価にはさまざまな要素が関係し、新しいホームページが検索エンジンに認識され、検索からアクセスされるようになるまでには時間がかかる場合があります。
また、検索順位だけでなく、ホームページを訪れた人に必要な情報が掲載されているか、問い合わせしやすい構成になっているかも重要です。
「SEO対策をすればすぐ集客できる」と考えるのではなく、公開後も必要な情報を追加しながらホームページを育てていく視点を持つとよいでしょう。
SEOについては、行政書士のホームページにSEO対策は必要?基本的な考え方と対策を解説でも紹介しています。
他の行政書士事務所のホームページをそのまま真似する
競合となる行政書士事務所のホームページを見ることは、ページ構成や掲載内容を考える参考になります。
しかし、他の事務所と同じ構成や文章にすればよいとは限りません。
事務所によって、
- 取扱業務
- 得意とする分野
- 対応地域
- 料金
- 経歴
- 対応方法
- 想定している相談者
などが異なります。
他のホームページは参考資料として利用し、自分の事務所では何を伝える必要があるのかを考えることが大切です。
また、他のホームページに掲載されている文章や画像をそのまま使用することは避けましょう。
情報を詰め込みすぎる
伝えたいことが多いと、できるだけ多くの情報を1ページに掲載したくなることがあります。
しかし、情報量を増やすことだけが分かりやすいホームページにつながるわけではありません。
重要な情報が大量の文章の中に埋もれてしまえば、訪問者が知りたい内容を見つけにくくなることがあります。
必要に応じてページを分けたり、見出しを使って内容を整理したりすることも大切です。
特に業務内容を詳しく説明する場合には、すべてをトップページへ掲載するのではなく、業務ごとの詳細ページへ分ける方法もあります。
「たくさん書くこと」ではなく、「必要な情報を見つけやすくすること」を意識しましょう。
分からないことを確認しないまま制作を始める
ホームページ制作では、聞き慣れない言葉や分からない項目が出てくることがあります。
たとえば、
「この費用は何の作業なのか」
「このページは自分で更新できるのか」
「サーバーは誰が契約するのか」
「公開後の修正はどうなるのか」
などです。
分からないことがあっても、「専門的なことだから」とそのままにしてしまうと、後から認識の違いに気づくことがあります。
ホームページ制作の専門知識をすべて理解する必要はありません。
分からない部分について質問し、自分が依頼する内容を把握したうえで制作を始めることが大切です。
失敗を防ぐには「何を依頼するのか」を明確にする
ホームページ制作で起こる認識の違いを減らすためには、依頼前に「何を作ってもらうのか」を確認しておくことが重要です。
少なくとも、
- ホームページの目的
- 掲載する主な業務
- 必要なページ
- 制作費に含まれる内容
- 自分で準備するもの
- 公開希望時期
- 修正方法
- 公開後の更新方法
- 保守の有無
などを確認しておくと、制作内容を把握しやすくなります。
すべてを自分で決める必要はありません。
分からない部分は制作側へ相談しながら、決まっていることと決まっていないことを共有して進めるとよいでしょう。
まとめ
行政書士のホームページ制作では、デザインや実装そのものだけでなく、依頼前の確認や制作中の情報共有も重要です。
目的が曖昧なまま制作を始めたり、制作範囲を確認しなかったりすると、完成後に「思っていたものと違った」と感じることがあります。
また、原稿や写真の準備、修正方法、公開後の更新などを事前に考えておくことで、制作を進めやすくなります。
ホームページ制作について詳しくないからといって、すべてを自分で決める必要はありません。
大切なのは、自分の事務所として決めることと制作側へ相談することを整理し、分からない部分を確認しながら進めることです。
制作費だけで判断するのではなく、「何を目的に作るのか」「どこまで依頼するのか」「公開後はどう運用するのか」まで確認したうえでホームページ制作を進めましょう。